アメトリンとは（投稿）

アメトリンとは

アメトリン ― 相反するものが、ひとつになる美しさ

アメトリンは、紫のアメジストと、黄金色のシトリンが一つの結晶の中に共存する、非常に珍しい天然石です。
通常、これら二つの石は別々に成長しますが、アメトリンは特定の地質条件と温度差によって、同じ結晶内に異なる色と性質を宿します。そのため、天然のアメトリンが産出される場所は世界でもごく限られており、その希少性も魅力のひとつです。

紫と黄色。
静と動。
直感と現実。

一見すると相反する要素が、自然の中で調和し、ひとつの輝きとして存在しているのがアメトリンです。光の角度によって表情を変えるその姿は、見るたびに違った印象を与えてくれます。

アメジストが持つ落ち着きや思考の深さと、シトリンが持つ明るさや前向きなエネルギー。その両方をあわせ持つアメトリンは、「どちらかを選ぶ」のではなく、「どちらも大切にする」ことを思い出させてくれる石でもあります。

忙しい毎日の中で、冷静でいたい自分と、前に進みたい自分。
安定を求める気持ちと、変化を恐れず挑戦したい気持ち。

相反する感情を抱えるのは、決して弱さではありません。むしろ、それだけ真剣に人生と向き合っている証です。アメトリンは、そんな揺れ動く心を否定せず、静かに寄り添うような存在感を持っています。

派手すぎず、それでいて確かな個性を放つ色合いは、日常の装いにも自然に溶け込みます。見る人によって、紫が強く見えたり、黄色が印象に残ったりするのも、この石ならではの魅力です。それは、今の自分の状態を映し出す鏡のようでもあります。

「こうありたい」と思う自分と、「今ここにいる」自分。
その両方を抱えたままでもいい。

アメトリンは、完成を急がせる石ではありません。変化の途中にいるあなたの時間を、そのまま美しいものとして肯定してくれる。そんな静かな強さを秘めた天然石です。

ひとつとして同じ表情を持たないアメトリン。
それは、あなた自身が唯一無二であることの証でもあります。

森下愛実

ジュエリーデザイナー

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